水酸化ナトリウム水溶液の濃度を知りたいと思います。どうすればよいでしょうか。このような課題を解決するとき,中和滴定という操作を使います。中和滴定とは,酸や塩基の濃度や量を決める操作のことです。今日は中和滴定によって,水酸化ナトリウム水溶液の濃度を調べてみましょう。その前に,水酸化ナトリウム水溶液の濃度を調べるために使うシュウ酸について,説明する必要がありますね。 白い粉末であるシュウ酸二水和物の化学式は(COOH)2・2H2Oで,モル質量は126g/molです。したがって,0.63gを使いますが,これは0.0050gですね。このシュウ酸水溶液は100ml ですから,濃度は0.0050/0.100=0.050(5.0×10−2)〔mol/l〕です。したがって,この濃度のシュウ酸水溶液10ml 中には,シュウ酸分子は5.0×10−2×10/1000=5.0×10−4〔mol〕含まれていることがわかりますね。 次にシュウ酸と水酸化ナトリウムの反応を考えてみましょう。 (COOH)2 + 2NaOH → (COONa)2 + 2H2O ですから,シュウ酸1molに対して,水酸化ナトリウムは2mol必要であることがわかります。 水酸化ナトリウムの濃度をc mol/l ,シュウ酸と過不足なく反応した(中和した)水酸化ナトリウム水溶液の体積をv ml とすると, c v /1000=2×5.0×10−4 したがって, c =1.0/v となります。中和における酸と塩基の量関係については,次の授業で詳しく扱います。 次に。使う器具について説明しましょう。中和滴定の実験では,濡れていてもよいもの,よくないものの区別が重要です。濡れていてはよくないものは,使う溶液で洗浄します。加熱して乾かすようなことは行いません。 濡れていてはよくない器具は,ビュレットとホールピペットです。濡れていてもよい器具はメスフラスコとコニカルビーカーです。メスフラスコは水を加えるから,容器内に水があっても平気です。では,コニカルビーカーはどうしてでしょう。 |
実験36 中和滴定 <溶液の調整> 1.シュウ酸二水和物0.63gに水を加えて100ml の水溶液にする。(注意)溶液の濃度が一定になるように,メスフラスコに栓をして,何度もひっくり返す。 2.与えられた水酸化ナトリウム水溶液を使用する。 <ビュレットの洗浄> 3.ビュレットに水酸化ナトリウム水溶液を10ml の目盛りまで入れる。(注意)漏斗の足をビュレットノ壁面に沿って回しながら,水酸化ナトリウム水溶液を入れる。 4.ビュレット内の水酸化ナトリウム水溶液をすべて流し出す。 5.ビュレットに水酸化ナトリウム水溶液をほぼいっぱい入れる。 6.ビュレットノ先端部の空気を抜く。 <ホールピペットの洗浄> 7.ホールピペット(10ml )に約5ml シュウ酸水溶液を吸い上げる。 8.ホールピペットを水平より,やや開口部部が下になるようにしてホールピペットを回転させ,シュウ酸溶液で洗浄する。 9.ホールピペットをたてて,シュウ酸水溶液をすべて出す。 10.最後一滴は,開口部を指で押さえ,ホールピペットの膨大部を握って出す。(ホールピペット内の空気を膨張させて,先についている水溶液を落とす。) |
準備ができました。いよいよ滴定です。 |
<中和滴定> 11.シュウ酸水溶液をホールピペットで正確に10ml 取り,コニカルビーカーに入れ,フェノールフタレイン溶液を1〜2滴加えてから,回転子を入れる。 12.滴下前のビュレットの液面の目盛りを0.01ml の単位まで正確に読む。(ビュレットの青色の線の切れ目を基準にするとよい。) 13.コニカルビーカーをスターラーの上にのせ,溶液をかき混ぜながら水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ滴下する。水溶液の赤色が消えにくくなったら,注意して1滴ずつ滴下する。溶液全体がうすい赤色になれば滴下をやめる。(しばらくすると,空気中の二酸化炭素が溶けて,赤色が消える。) 14.滴下後のビュレットの液面の目盛りを0.01ml の単位まで正確に読む。(ビュレットの青色の線の切れ目を基準にするとよい。) 15.11〜14の操作を3回行う。 |
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実験結果を整理しましょう。 |
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平均値は10.01ml でした。したがって,与えられた水酸化ナトリウム水溶液の濃度は,c =1.0/v =1.0/10.01≒0.10〔mol/l 〕ということになりますね。 ところで,コニカルビーカーがぬれていてもよい理由はわかりましたか。水でぬれていても,加えたシュウ酸の物質量は変わらないからです。 |