2004年6月24日(木) 04ko2-11 電池
今日は,実用電池について学びましょう。電池の歴史は古く,イラクの首都バクダッドの郊外の古代都市の遺跡で発見されたものが最も古い電池と考えられています。この電池は,小さな粘土製の壺の内側に,うすい銅の筒がはめ込まれており,中央に鉄の棒が入っています。つまり,鉄と銅の電池ですね。電解質として,何を使ったのでしょうか。1780年,イタリアのガルバーニという生物学者は,カエルを鉄柵にぶら下げ,その脚にしんちゅうの針金を引っかけておくと,鉄としんちゅうが触れたときにカエルの脚がけいれんすることを発見しました。 ガルバーニのカエルの実験にヒントを得て電池をつくったのが,イタリアの物理学者のボルタです。電圧の単位「ボルト」は,彼の名前をとったものです。ボルタは,1800年,銅と亜鉛,塩化ナトリウム水溶液を使った電池をつくりました。 ボルタの電池は,豆電球などを連結して使用すると,はじめは明るく点灯しますが,すぐに暗くなり消えてしまうことです。この原因は,銅板に水素の気泡がつき,電流が流れにくくなるとともに,水素分子が水素イオンになる逆反応が起こるためであると考えられています。 このボルタの電池を改良したのがダニエルです。日本では,昭和30年頃まで電信用にダニエル電池が使われていたそうです。 今日の勉強の内容は,次の通りです。 (1)ダニエル電池 (2)マンガン乾電池 (3)鉛蓄電池 (4)燃料電池 |
8 電池 (1) ダニエル電池 1836年 ダニエル(イギリス) 負極 Zn|ZnSO4aq|CuSO4aq|Cu 正極 Zn → Zn2+ + 2e− Zn原子は酸化された Cu2+ + 2e− → Cu Cu原子は還元された Zn + Cu2+ → Zn2+ + Cu |
電池では,負に帯電する電極を負極,正に帯電する電極を正極といいます。一般に,イオン化傾向の大きい金属が負極,そうでない金属や酸化物が正極となります。乾電池は,1868年に考え出されたルクランシェ電池がもとになっています。ルクランシェ電池は,負極に亜鉛,正極に酸化マンガン(IV),電解質に塩化アンモニウムが使われています。 1886年,ドイツのガスナーは,電解液を石膏で固め,持ち歩いてもこぼれないように工夫しました。この工夫により,電池がより広まることになったのです。ガスナーが乾電池を発明した頃,日本でも屋井先蔵という発明家によって乾電池が考案されています。 |
(2) マンガン乾電池 負極 Zn|NH4Claq,ZnCl2aq|MnO2,C 正極 Zn → Zn2+ + 2e− Zn原子は酸化された 生成物はpHによって変化 MnO2 + 4H+ + 2e− → Mn2+ + 2H2O Mn原子は還元された(pH0.5〜6) ![]() |
電池から電荷を取り出すことを放電といい,放電した電池に放電と逆の向きに電流を外部から流し,電極で放電と逆の反応をおこす操作を充電といいます。ボルタ電池やマンガン乾電池は,充電することができません。このような電池を一次電池といいます。それに対して,充電により繰り返し使用できる電池を二次電池または蓄電池といいます。 蓄電池の中でよく知られており,また現在でもよく使われているものが鉛蓄電池です。鉛蓄電池は1860年にプランテにより発明されています。 |
(3) 鉛蓄電池 負極 Pb|H2SO4aq|PbO2 正極 <放電> Pb → Pb2+ + 2e− Pb原子は酸化された Pb2+ + SO42− → PbSO4(白色,Pb表面に付着) PbO2 + 4H+ + 2e− → Pb2+ + 2H2O Pb原子は還元された Pb2+ + SO42− → PbSO4(白色,PbO2表面に付着) 負極:Pb + SO42− → PbSO4 + 2e− 正極:PbO2 + 4H+ + SO42− + 2e− → PbSO4 + 2H2O <充電> 負極:PbSO4 + 2e− → Pb + SO42− 正極:PbSO4 + 2H2O → PbO2 + 4H+ + SO42− + 2e− <鉛蓄電池の化学変化> 放電 Pb + PbO2 + 2H2SO4 ⇔ 2PbSO4 + 2H2O 充電 ![]() |
自動車のボンネットを開けると,バッテリーが見えることを知っていますか。あれが鉛蓄電池です。車には発電機も備えています。エンジンが回転しているときは,発電機により充電しているのですね。ライトをつけたままエンジンを止めると,放電のみになり,バッテリーの電圧が下がってしまうのです。 アメリカの宇宙開発で使用され,最近注目を浴びている電池が燃料電池です。燃料電池は,どのようなしくみになっているのでしょうか。 ![]() |
(4) 燃料電池 リン酸型 負極 H2|H3PO4aq|O2 正極 負極:H2 → 2H+ + 2e− 正極:O2 + 4H+ + 4e− → 2H2O 全体の反応:2H2 + O2 → 2H2O |
電池の小型化,高性能化が,いろいろな製品の小型化を実現しています。その例として,ノートパソコンや携帯電話を上げることができるでしょう。このように,電池は私たちの暮らしを豊かにしてくれているのですね。 ![]() それでは,今日の勉強の確認です。 1.ダニエル電池の正極と負極は何が使われていますか?→正極;銅Cu,負極;亜鉛Zn 2.マンガン乾電池の正極と負極は何が使われていますか?→正極;炭素C,負極;亜鉛Zn 3.充電により繰り返し使える電池を何といいますか?→二次電池または蓄電池 4.鉛蓄電池の正極と負極は何が使われていますか?→正極;酸化鉛(IV)PbO2,負極;鉛Pb 5.水素-酸素燃料電池では,正極と負極は何が使われていますか?→正極;酸素O2,負極;水素H2 |