標準状態における気体1molの体積は22.4l でしたね。水素,ヘリウム,窒素,アルゴン,酸素などの気体は,標準状態で22.4l です。しかし,アンモニアや二酸化硫黄などの気体は,標準状態で22.4l ではありません。これよりも体積が小さくなっています。どうして22.4l より小さい体積になるのでしょうか。 今日の学習内容は,次の通りです。 (1)気体の状態方程式 (2)理想気体と実在気体 (3)実在気体の理想気体からのずれ (4)実在気体の状態変化 それでは,もう一度気体の状態方程式について考えてみましょう。この式に物質量1.00mol,温度321K,体積1.32l を代入して圧力を計算すると,20200〔hPa〕になります。ところが,二酸化炭素の実測値は18600〔hPa〕なのです。 |
9 理想気体と実在気体 (1)気体の状態方程式 1.00molのCO2を48℃で1.32l に保つと, pv=nRT より p=nRT/v=1.00×83.1×(273+48)/1.32=20200〔hPa〕 実測値=18600〔hPa〕 ボイルの法則より pv=k1 シャルルの法則より v=k2T pv=k1 より p→∞のとき,v→0 分子がなくなる v=k2T より T→0のとき,v→0 分子がなくなる |
気体の状態方程式は,もとはボイルの法則とシャルルの法則でしたね。これらの法則を数学的に解釈すると,p→∞のときv→0やT→0のときv→0の結果になるのです。![]() そこで,気体の大きさや分子間力のない気体(もちろんそんな気体はありませんが)を考えて理想気体とよんでいます。したがって,理想気体は厳密に気体の状態方程式にしたがうわけです。 |
(2)理想気体と実在気体 気体の状態方程式に厳密にしたがう気体(仮想)…理想気体 実際に存在する気体…実在気体
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気体の量と温度が一定のとき,理想気体では,pvの値は圧力の高低によらず一定になります。しかし,実在の気体は,高圧の条件下では大きくずれてしまいます。そのずれ方も,気体の種類によって大きく異なり,特に二酸化炭素の場合はずれが大きくなります。一般に,沸点の低い酸素・窒素・水素・ヘリウムなどは,室温またはそれ以上の温度で約10気圧(10130hPa)以下の圧力のとき,理想気体の値の1%以内で,理想気体に近い性質を示します。 |
(3)実在気体の理想気体からのずれ pv=nRT より pv/(nRT)=1(理想気体) ![]() ・低圧のとき理想気体に近づく 低圧→分子間の距離が大 →分子の大きさの影響が小 ・高温のとき理想気体に近づく 高温→熱運動が活発 →分子間力の影響が小 |
実在気体でも,比較的低い圧力(単位面積あたりの気体分子の数が少ない)で高い温度(分子間力の影響が小さい)であれば,ほぼ理想気体とみなせます。したがって,多くの気体は,常温・常圧において,ほぼ理想気体として取り扱い,状態方程式を使うことができるのです。それでは最後に,参考として実在気体の状態変化を整理しておきましょう。すべての物質は三態変化しますが,ボイルの法則やシャルルの法則は,気体の状態でしか成り立ちません。また,気体と液体が安定に共存できる温度と圧力の関係は蒸気圧曲線でしたね。 |
(4)実在気体の状態変化 <圧力一定のもとでの変化>(P→Q) ![]() 冷却する→q点で凝縮 凝縮中→温度一定 凝縮が完了→温度が降下 ![]() <温度一定のもとでの変化>(P→R) ![]() 加圧する→体積減少(P〜rではボイルの法則に従う) 飽和蒸気圧と同じ圧力→凝縮がはじまる→液体と気体が共存→加圧しても圧力は一定 液体の体積は加圧してもほとんど変わらない ![]() <体積一定のときの変化>(P→S→O) ![]() 気体を冷やす→圧力は絶対温度に比例して下がる 飽和蒸気圧と同じ圧力→凝縮がはじまる→蒸気圧曲線にしたがって圧力が下がる |
体積一定のときの変化では,温度を下げて凝縮がはじまると気体と液体が共存するのですから蒸気圧曲線にしたがって圧力が下がるのですね。ここがポイントです。それでは,今日の学習内容を確認しましょう。 1.気体の状態方程式が厳密に成り立つと考えた気体を何といいますか? 2.1の気体では,分子間力や分子自身の体積はどのようになりますか? 3.実在気体でも理想気体とみなせる条件(圧力や温度)は何ですか? |
答
1.理想気体
2.分子間力は働かず分子自身に体積がない仮想の気体
3.定圧,高温