2006年4月18日(火) 06ko3-02 状態変化と蒸気圧
 突然ですが,蒸発と沸騰の違いが説明できますか?今日のポイントは蒸発と沸騰です。また,今日の勉強は洗濯物を早く乾かすための知識にもなります。家庭の化学です。
     
 今日の学習内容は,次の通りです。
(1)状態変化
(2)状態図
(3)蒸発
(4)蒸気圧
 それでは,状態変化からはじめましょう。気体から液体に変わる変化を凝縮,液体から固体に変わる変化を凝固といいます。逆に,固体から液体に変わる変化を融解,液体から気体に変わる変化を蒸発といいます。また,固体から直接気体になる変化を昇華といいます。気体から固体になる変化も昇華ということがあります。
  

2 状態変化と蒸気圧
(1)状態変化
 物質がとる固体,液体,気体→物質の三態
 気体 液体 固体
凝縮 凝固
 気体 液体 固体
蒸発 融解
 気体 固体
昇華
冷凍庫の氷が減っているのを見たことはありませんか。氷は昇華するのです。
 温度が変化すれば物質の状態は変わりますが,実は温度だけでなく圧力も関係するのです。物質の状態と温度・圧力の関係を示した図を状態図といいます。水の状態図を紹介しましょう。
   
 状態図には3つの曲線があります。それぞれ蒸気圧曲線,融解曲線,昇華曲線といいます。蒸気圧曲線は,また後でも出てきます。
 各状態間の境界線は,2つの状態が共存する条件です。共存とは,同温・同圧という条件がつきます。20℃でも水は蒸発しますが,そのときの蒸気圧は1013hPaではありません。

(2)状態図
 物質の状態と温度・圧力の関係を示した図→
状態図
 各状態間の境界線→2つの状態の間で平衡が成立
              2つの状態が安定に共存している温度と圧力


 三重点は,温度0.01℃,圧力6.1hPaです。これは,国際温度目盛りの定義定点の1つになっています。ところで水の状態図の特徴は融解曲線の傾き方です。一般には右肩上がりになるのですが,水では逆になっています。したがって,圧力が高くなると融点が下がります。これをスケートができる理由と説明することがよくありますが,理由はそれだけではなさそうです。
 
 液体分子が液面から飛び出す現象を蒸発といいます。蒸発をモデルで考えてみましょう。温度が一定であれば,単位時間に液面から飛び出す分子の数は一定です。いま,単位時間に2個の分子が液面から飛び出すとしましょう。ところが,密閉された容器内では,気体分子が増えてきます。もちろん気体分子による圧力も大きくなります。それは後で考えるとして,気体分子が増えるということは,確率的に液面に衝突して液体分子にもどる数も増えるということですね。
 そこで,単位時間に2個の気体分子が液面に衝突して液体分子になったとしましょう。このとき,密閉された容器内の気体分子の数は一定になるということが理解できますか。言い換えると,蒸発する分子の数と凝縮する分子の数が等しいとき,気体分子の数は一定になっているのです。このような現象を気液平衡といいます。平衡という概念は,化学ではとても大切です。
    

(3)蒸発
 液体分子が液面から飛び出す現象→
蒸発 
 運動エネルギーが大きくなる→分子間力を振りきる
 蒸発する分子数=凝縮する分子数
 気体と液体が互いに移り変わる量が単位時間内で等しい状態
 →
気液平衡(蒸発平衡)
 気液平衡に達すると,気体分子の数が一定になりますね。すると,当然気体による圧力も一定になります。温度が高くなると,分子の熱運動が活発になるため,蒸発する分子数が増加します。その結果,気体分子数が増すことになり,圧力も高くなります。次の表は,エタノールとジエチルエーテルの蒸気圧を示しています。は高さ1mmの水銀柱の重さによる圧力を1mmHgと表し,760mmHgが1013hPaに相当します。mmHg単位は血圧の単位などによく用いられています。
 

温度〔℃〕 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25
エタノールの蒸気圧〔mmHg〕 32 35 37 39 41 44 47 50 53 56 59
ジエチルエーテル〔mmHg〕 359 374 389 406 422 440 457 476 495 514 534

  

(4)蒸気圧
 気液平衡が成り立つとき,蒸気の示す圧力
 →
飽和蒸気圧(蒸気圧)
 液体の蒸気圧は一定温度で一定の値をとる
 温度が高いほど大きくなる
 蒸気圧と温度の関係→
蒸気圧曲線
 蒸気圧が1013hPa(760mmHg)のときの温度→
沸点
 液体の表面からだけでなく,内部からも蒸気が気泡となって発生する現象→
沸騰
 沸点は沸騰するときの温度


 
 蒸気圧が大気圧と等しい圧力の温度になると,液体の表面からだけでなく,液体の内部からも蒸気が気泡となって出てくるのですね。もし外圧の方が大きければ,気泡はできません。蒸発と沸騰の違いがわかりますか?
 また,エタノールには水素結合が働くため,分子どうしの結合がジエチルエーテルより強くなります。その結果,同じ温度でも蒸気圧が小さくなるのです。いいかえると,沸点が高くなるのです。
 最後に,洗濯物を早く乾かすにはどうしたらよいか確認しましょう。洗濯物から蒸発する分子をたくさん飛び出させるとよいですね。そのためには,温度が高い方が熱運動が活発ですから多くなります。さらに,凝縮する分子の数が少ない方がよいですね。つまり蒸気圧が低い方がよいわけです。風が吹いていると洗濯物の近くの水蒸気が早く拡散されます。ということで,温度と風ということになりますが,そのようなことはすでに知っていたでしょうね。
   
 それでは,今日の学習内容を確認しましょう。
1.固体から液体への変化を(ア),その逆を(イ)という。液体から気体への変化を(ウ),その逆を(エ)という。また,固体から直接気体になる変化を(オ)という。
2.物質の状態と温度・圧力の関係を示した図を何といいますか?
3.蒸発とはどのような現象ですか?
4.気体と液体が互いに移り変わる量が単位時間内で等しい状態を何といいますか?
5.気液平衡が成り立つとき,蒸気の示す圧力を何といいますか?
6.沸騰とはどのような現象ですか?


1.ア;融解,イ;凝固,ウ;蒸発,エ;凝固,オ;昇華
2.状態図
3.液体分子が液面から飛び出す現象
4.気液平衡(蒸発平衡)
5.飽和蒸気圧(蒸気圧)
6.液体の表面からだけでなく,内部からも蒸気が気泡となって発生する現象